コラム

住宅価格の根拠を知ろう

住宅の価格の不思議

住宅の価格は何千万円と高額です。それは数多くの材料を使い、さまざまな専門業者(大工や左官業者、電気工事業者など)が関わってくるからなのです。しかし、
実は、住宅の価格には統一した基準がありません。
住宅の価格は住宅会社によって実にさまざまです。
あるところは床面積35坪で1,400万円、別のところでは1,800万円と、400万円も差額がでることも珍しくありません。
もちろん使う建材のグレードが高ければその分住宅の価格は上がりますし、低ければ下がるのは当然です。このようにグレードによって価格に差が出るのは一般の方も納得できるでしょう。しかし、それ以外の理由で価格の差が発生する要因が実はあります。

営業経費は消費者が負担

それは住宅会社によって原価に上乗せする利益の額が全く違ってくるからなのです。たとえば小規模なところでは住宅建築原価以外の経費(営業職の人件費・広告宣伝費などの営業経費)は多くかけませんから、建築原価にプラスする利益は少なくできます。反対に営業経費を多くかけている住宅会社では、同じグレードの家だとしても、それらの営業経費は住宅の価格に転嫁せざるを得ないので、消費者が負担する利益の割合が結果的に大きくなってしまいます。
現実的には同じような家のグレードなのに、AさんはBさんよりも何百万円も多くかかった、ということも前述の理由から実際にありえることなのです。

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見積書と仕様書で比較する

無駄な費用を支払わないためには、「何を使い」、「誰が建てて」、「いくらかかる(った)のか」を知ることが大事です。そのためには「見積書」と「仕様書」を住宅会社に要求し、材料・設備の内訳やそのグレード、そしてそれにかかる費用の確認をしてみましょう。そして、別の住宅会社にも要求し、価格の差や仕様の違いを比較してみることも大事であると思います。

ここで業歴50年の知識と経験から、見積書と仕様書のどこを最低限確認するべきかをアドバイスしたいと思います。
違いがよく出るポイント!
①設計費・②諸経費・③(木造の場合)材木の種類・④設備や建材の項目から数種類の単価を比較・⑤大工手合)が大事なポイントと考えています。

①設計費は業者によって十数万円から何百万円と幅がでます。②諸経費は現場監理費や業者の利益となる一般管理費が含まれていて業者によって差が出てきます。③材木の種類では使う材木のグレードで価格差も耐久性も変わってきますので確認が必要です。④設備や建材の項目では、単価を見ることで、その住宅会社が設備・建材を安く仕入れられているか確認できます。⑤大工手間は高ければ、腕がよく実績のある大工職人であることが多く、反対に安いのなら技術力に注意が必要かと思います。

住宅は、ほかの商品と違い「高ければ質もいい」ということがあてはまらない特殊なものです。そのため、住宅の価格の根拠を可能な限り把握し、お金を何百万円と無駄にしないようにしましょう。